「どうして別れたか 聞かないの?」
「うん 聞いてほしいのかい?」
「そうじゃないの ただ・・・・ほんとに聞きたくないの?
それって 私に気を使って聞かないの? それとも過ぎたことなんてどうでもいいと
思うから聞かないの?」
「どう違うんだい?」
「そうね 私にとって 別れたこと自体は同じことよ
でも あなたがそのことをどう思っているのか それは気になるの」
「そうだな・・・・
でも 自分で言いたければ言うさ 君が言いたければね・・・・
そういうものだろう?
僕はあえて聞こうと思わないだけさ」
「随分クールなのね
じゃ 私が話したらちゃんと聞いてくれる?
そんな私の過去も含めて愛してくれる?!」
「それはどうだろう
心の準備もしてないし そこまで心の広い男でもなさそうな気がする」
「ほら そうやって また逃げようとする」
「わからないなあ 君は僕にどうしろと言うんだい?
どうしたら納得してくれるんだい?」
「そうやってクールを装って本心をはぐらかそうとする
例えば 穏やかな海を二人で見てるとするでしょう
確かに穏やかで 太陽の光を反射してキラキラ まばゆいばかり
でもね 私はその下の方 あなたの その海の中が見てみたいの
わかる? 心の奥よ あなたの本心が
あなたが苦悩にもがく姿を見てみたいの
見せる相手として私では不足かしら?」
「ぼくはこれまでの経験から自然にそういった 苦しさから逃げる術を得たのか
もしれない 嫉妬とかは苦しみの最たるものかな」
「いいじゃない もっと自然に 自分の感情に素直になって取り乱したって 嫉妬に悶
えたって 私はそういうあなたが見てみたいの」
「面倒な奴だな
そうやって問い詰めるから そいつも嫌気がさして別れることになったんだろ」
「ふふふっ・・・・
やっとここまできたか
あなたこそ ほんとめんどくさい奴!
私が露払いして お膳立てしてやらないと
ここまで気持ちを持ってこれないんだから・・・・」